【日本国紀】歴史を学ぶ意味【読書感想文】
この本は以下のような人におすすめします!
- 日本が好きな人(好きになりたい人)
- 日本の歴史がどのくらい素晴らしいか知りたい人
- 嫌韓論調に耐えられる人
著者が伝えたいメッセージとは
歴史を学ぶ意味とは
「愚かなものは自分の経験から学ぶと信じているばかりだ。私は最初から自分の過ちを避けるために、他人の経験から学ぶことを好む」私たちもまた先人の経験から、悲劇を避ける術を学ばなくてはならない。
第十一章 大東亜戦争 の序文である。悲劇だけではない。良かったことも含めて、先人の経験から学ぶことがたくさんあるのだ。歴史を学ぶ意味はここにある。そのとおりだと思う。
私たちは歴史から学ばなければならない。日本政府の歴史を見て、企業人が学ぶべきところはたくさんある。
帝国陸軍のように情報を軽視し、鎧袖一触でやっつければ良いという計画で良いか?
ペリー来航直前の幕府のように情報を得ながら、それを活かしたアクションを取らなくてもよいか?
アメリカ使節団、岩倉使節団のように、情報だけでなく外の世界に触れなくてよいか?
頑張って働いて物を作れば作っただけ売れた時代は、数十年も前に終わった。じゃあこれからはどうしたらよいか。一度歴史から学んでみてはいかがでしょう。
感想
百田氏は論調が強い。正直って過激だ。是々非々だと本人もTwitterで言っていた。だから、読んでいて「う~ん、それは言い過ぎでは?」「そうかなあ」と思うことがに度々書かれていた(本来「通史」と呼ばれるものは客観的に書かれたものであるはずのに、私がこういうふうに思ったということは推して知るべし)。さらに、歴史素人の私でも指摘できる間違いがあった(島津久光は藩主であったことはない)。と、細かいことに口を出せば、いろいろある(冒頭の一部批判と同じである)。
だから、これから歴史を勉強しようと思う人は、これが全てではないことを頭に入れておいてほしい。この本をきっかけに沢山の歴史関連本を読んでほしいと思う。
もう一度いうが、著者が伝えたいのは「日本はこんなに素晴らしい国ですよ。自虐史観にとらわれず、誇りを持っていきましょう」ということである。日本史に足を踏み入れようとする人にはぴったりのメッセージだ。
岩倉使節団の「あの人」
話は変わるが、私は明治時代が好きだ。司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」を読んでから好きになった。なんだか日本のパワーが感じられるからだ。そんな時代に、政権のトップたちが欧米を外遊した。岩倉使節団だ。いろんな書籍で岩倉使節団のくだりを見るとき、いつも不憫になるのがあの有名な写真の岩倉具視と木戸孝允に挟まれた「あの人」の存在だ。大久保利通、伊藤博文、木戸孝允と並んで副使に選ばれていながら、「この人」の名前を知っている人は少ないのではないだろうか?
本書288ページの記述によると、
廃藩置県が行なわれた明治四年(一八七一)、政府は岩倉具視を全権大使とする使節団をアメリカとヨーロッパに送る。この時のメンバーは伊藤博文、大久保利通、木戸孝允(桂小五郎)といった政府の重鎮たちで、この顔ぶれを見てもいかに重要な使節団であったかがわかる。
まあでも特に、今回のこの記事でも紹介はしないです。
最後に
歴史を古代から読んでいくと、思うことがある。平和だと思っているこの日本、そしてアメリカが世界の覇王として君臨しているこの世界も、いつかひっくり返ることがあるのだろうかと。江戸時代の人々は徳川家が君臨する「太平の世」がずっと続くと思ったに違いない。それでも300年続かなかった。一方で、明治維新から150年しか経っていないのである。産業革命以来、イギリスが世界の覇権を握った。産業革命からも300年は経っていないのである。
今、中東や東アジアがきな臭い。
平家物語の序文にあるように、今現在盤石だと思っているものも、”ただ春の夜の夢のごとし”なのだろう。